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「時間を使っていますか? 時間に使われていますか?」


 

2009年5月
カトリック三島教会
主任司祭
ファム・ディン・ソン

   先日のテレビのニュースの1コマ、「進化する代行ビジネス」、見てびっくりです。本当に驚きです。まったく言葉にならない。私は日本に来た時、「代行」という「タクシー風」の車をたびたび見かけました。「代行」=「タクシー」?という疑問をずっと抱いていました。ある日のこと、会社の忘年会で課長はよれよれに酔っぱらっていました。なのに、自分の車を運転して帰ろうとしていました。部長がそれを見て、「だめだ、代行を呼べ」と。あの時ようやく「代行」の意味を知ることができました。それから27年が経ち、「代行」は車にとどまらず、あらゆる場面で「代行サービス」が進化???しているようです。
  愚痴を聞いてくれる代行 (日ごろたまっているものを噴出するために、誰かに愚痴を聞いてもらう)。お父さん代行 (お父さんは仕事が忙しくて子供にかまっていられないので、キャッチボールなどの相手をしてもらう)。そのほか、結婚式への出席代行、恋人代行などのサービスがあるそうです。理解に苦しみますが、現代に生きる私たちは時間に追われながら生きているせいか、どこかでずれてしまい、もぐらたたき人生になってはいないでしょうか?
  友人から教えてもらったストーリーを皆様に分かち合いたいと思います。このストーリーを通して、もしかしたら私たちは大切なものに気づくかもしれません。 “外車を持ちたい” と、長年夢をもち続けていた青年が、周りを忘れるほど一所懸命働き、やがてその夢が現実となりました。
  ある日曜日の夕方、納入されたばかりの新車に乗って気分はルンルン。エンジン音を確かめながら車を走らせ、同じ道を何度も回っていました。ふと気がつくと、ひと気のない公園の片隅で、1人の子どもが何か叫びながら、何かを投げるような仕草をしていました。その子がいつからそこいたのかもわからず、最初は気にも留めませんでした。1周、2周…そして5、6周と車で回っているうち、その子がまだいたので、少し気になってきました。こんな時間に1人で何をしているのかなと思った矢先、「カン」と何かが車にぶつかる音がしました。急いで車を止めて見たところ、突然青年は悲鳴をあげました。運転席のドアの取っ手の横にへこんだ跡を見つけたからです。後ろのタイヤの近くには石が転がっていました。周りを見回しましたが、公園の片隅にいたその子のほかは、誰もいません。青年が石を拾って近づいていくと、まだ5、6歳くらいの子どもでした。
「おいお前、ここで何をしているんだ!?今、俺の車に石を投げたのはお前だろ?」、
「お前、新車だよ!何をしてくれたんだよ!」、
「家はどこだ!」と、青年は子どもに怒りをぶつけ、まくしたてました。子どもは怖がって泣き出しました。
「ごめんなさい!本当にごめんなさい!お兄ちゃんが倒れて動けないので、助けて欲しいとずっと叫んだけど、誰も立ち止ってくれないの。だから石を投げたの…そうすれば…ごめんなさい。」
子どもは目から大粒の涙を落としながら、「ね、おじさん!お兄ちゃんを助けてくれますか。」と言いながら遊具の向こう側に向かいました。そこには10歳ぐらいの少年が車椅子とともに倒れていたのです。
「お兄ちゃんの車椅子が地面の穴に引っかかって倒れちゃったの。だけどお兄ちゃんは重いから、ぼく1人では起こすことができなかったの。」
現場を見た青年は言葉を失いました。すぐさま横転している車椅子と少年を起こし、安定した平らな地面まで車椅子を移動させました。車椅子の少年は生まれつきの障害によって下半身が不自由でした。この日は天気が良かったので、兄弟で散歩していたときに起こった出来事でした。
「家はどこ?」
「この先です。」
「家まで送ってあげようか?」
「2人で帰れます。……どうも、ありがとうございました。本当に助かりました。車のことはごめんなさい。」
「いいよ、大丈夫。心配しなくていいよ!さあ、早くお帰り、お母さんが心配しているよ。」
「ハイ、おじさんも気をつけて帰ってください。」と、子どもは深々と頭を下げて挨拶し、兄を乗せた車椅子を押して帰って行きました。
 青年は行儀の良い子どもを見て感動し、車のことなどすっかり忘れていました。彼はずっと立ち止まり、遠ざかる車椅子の兄弟を見つめながら、こころに何かを感じたようでした。車に戻り、車体についた傷を手で触りました。確かに傷は目立ってはいましたが、今日の出来事の“感謝のしるし”として直さないでおくことにしました。忙しさの中で忘れかけていた大切なものを、あの兄弟が気づかせてくれたからです。

 

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